仕事の関係で、「金融財政事情」という金融業界誌に必ず目を通すようにしているのですが、少し前の同誌の中で、「取締役会議の運営アドバイスや、社外取締役のあっせん、後継社長選任の支援などのコンサル」をやっている「ボードアドバイザーズ」という会社の副社長の安田 結子さんという方が、お薦めの本を紹介するコーナーがあり、そこで紹介されていた書評を読みました。
その本は、元朝日新聞編集者の清水建宇さんという人が書いた「バルセロナで豆腐屋になった(定年後の「一身二生」奮闘記)」という本です。
書名からみて買うべきかちょっと思案しましたが、とりあえず買ってみて、出張の行き帰りで読んでみました。
ちなみに余談ですが、ボードアドバイザーズという会社のHPはこれです。
この本を書いた清水建宇さんは、書籍の経歴を見ると、神戸大学を卒業して1971年に朝日新聞に入社し、今年で78歳になる方なんですが、webでちょっと検索して出て来た本人の顔写真を、どこかで見たことがあるような気がするな、と思ったら、久米宏がキャスターをやっていた「ニュースステーション」で2000年から4年弱ほど、コメンテーターをやっていた方という事でした。
昔、ニュースステーションをよく見ていたので、何となく、「本当にあの人が定年を契機にそれまでの経歴を投げうって豆腐屋になったのか?、しかもバルセロナで」と気になって読んでみたわけです。。
この本の装丁はこんな感じ....
本の中身は、大きく分けて、
「朝日新聞の社会部で様々な事件などを取材していた部署から、30代から40代にかけて、世界名画の旅への異動、そこでバルセロナという土地、街を知って、将来、ここに住んでみるものありかもな、と思った序章」、その後、「退職前から色々準備をして、退職してバルセロナで豆腐屋を開いてみるまでの2章から7章」、「バルセロナでの豆腐屋生活や新しく出会った人々を描いた8章から14章」、そして先に癌で亡くした奥さんの話を綴った「最終章」という構成になっています。
色々と運にも恵まれたと書かれていますが、新聞記者から豆腐屋への転身というのは、本当にスゴイ。自分には出来ない。ただそれを形にして、バルセロナで10数年続けたという事も驚きです。
表題の「一身二生(いっしんにしょう)」という「一つの身で、二つの違った人生を生きる」という言葉は、この本の中で紹介されているのですが、元々は、福沢諭吉が、「幕末の学者が、当初、漢学を修めていたのに、主旨替えしてみな洋学・蘭学を勉強するようになった」という事を、「文明論之概略」という著作の中で記されている様です。
この本の中で、「一身二生」を江戸時代に体現した人物として、日本全国の地図を作った伊能忠敬が紹介されています。伊能忠敬は、千葉県九十九里で生まれて、千葉県佐原市で丁稚奉公に出され、その後勉強に勤しんで大地主・大問屋として立身出世し、50歳で隠居したそうですが、そこから一念発起して、日本地図を作る事を仕事にして、計10回にわたり全国を全て徒歩で歩いて、日本地図を完成させたという話が紹介されています。
その生涯を、井上ひさしが「四千万歩の男」という本に書いているらしく、そっちも今後読んでみようと思った次第。
この本の著者の清水さんの、安定していた朝日新聞の編集者の仕事を60歳の定年で区切りをつけて、
全く別の人生を歩むんでみるという選択をした話に、良い感じで感化されました。。
さてこの後、自分もライフチェンジして、「一身二生」を実現するかどうか。。
はてさて、どういう選択をすべきか考えものだ。。
0コメント