三度目の日本

石破首相が施政方針演説の際に参考にし、政策の柱にも取り入れていた、堺屋太一が執筆した「三度目の日本」を読みました。

この本は、堺屋太一が生前に執筆していたもので、本人は2019年2月に亡くなったのですが、本書は、2019年5月に出版されたようです。

「一度目の日本」は、明治維新前後の開国の激動期を指し、江戸時代の「天下泰平」という安定志向から、富国強兵などの近代化への歩みの中で価値観が転換し、「強い日本」を志向し実現して行った、と書いています。

そして「二度目の日本」は、第二次世界大戦後から高度経済成長期にあたる時代を指し、価値観が「国家の強さ」から「物質的な豊かさ」に変わったと説明しています。

この一度目の日本や二度目の日本についての背景などの説明は、これまで日本の幕末・明治維新を少しばかり聞きかじった者としては、端的によくまとまっていて理解しやすい話なんだけど、「三度目の日本」についての提言は、ちょっと中途半端というか尻切れトンボ、もしくは今、時流のキーワードを並べただけのように読めて、ちょっと物足りない感じでした。

堺屋太一の三度目の日本への提言は、以下のような主旨です。

現在の日本は、犯罪も少なく安全で清潔で、ある意味天国のような国になったとは言えるが、それを維持していく事が一番大事という価値観になっていて、そ背景として、少子高齢化が進み、若者は起業する事にトライもしなくなり(起業する人は一定数居るが、相対的に減少していて)、夢と冒険を持ってみよう・やってみようという雰囲気が無くなってしまっている、という意見です。

その結果、創造性やチャレンジ精神、多様性などが相対的に失われているので、「夢と楽しみを持てる社会に変えて行こう」と言っています。

確かに、この辺までの話は十分納得性はあるのだけれど、その解決策として書かれているのが、官僚主導の打破と第四次産業革命だというのだ。これが短絡的、というか自分でも言えそうな話でちょっと示唆が足りない気がしてならない...

第四次産業革命は、現在のITの更なる進展・技術革新などのデジタル革命を指していて、結局いま流行りの「AI、ロボット、バイオ、IOT、仮想現実、自動運転」などがその成果にあたると言われている。

でも、これらが進展すれば「楽しい日本」が築けると言えるのかというと、そこが極めて疑問でしかない。

もう少し、深堀りというか肉付けが必要な気がするし、その辺を日本の政治家は、グランドデザインを描けるように頑張って貰いたいものです。。

レオンな生き方

愛犬レオンとサッカーをこよなく愛し、たまにパラグライダーで空を飛んでるバブル世代が、趣味や世の中の出来事など好きなことを語ります

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